熱中症は、軽い症状から重い症状まで段階を踏んで進んでいきますが、1番危険なのが高熱が出る「熱射病」という状態です。
熱射病の症状は、意識障害、全身の痙攣など、最悪の場合意識を失って倒れることもあります。
そこで、熱射病による発熱がなぜ危険なのか、どう対処したらいいのかについてまとめました。
なぜ高熱が出るのか?
「うちの子、風邪ひいてしょっちゅう熱出してるから慣れっこよ」と思うかもしれませんが、風邪の発熱と熱射病の発熱は、そもそもの仕組みが違います。
風邪をひいたときは、体内のウイルスを殺すために脳が指令を出して熱を出します。
では、熱中症が進んだときは、なぜ熱が出るのでしょうか?
気温が高くなって体温も高くなると、体内の水分を使って汗をかくことによって体温を下げます。
ところが、汗となって出ていった水分を補給せずにいると、汗のもとになる水分がないため汗が出なくなり、体に熱がこもっていき、どんどん体温が上がり続けるのです。
体温が上がり続けると、やがて体温を調節する機能がマヒします。
これが「熱射病」と呼ばれる症状なのです。
そして、風邪の発熱と熱射病の発熱の違いがもう1つあります。
風邪のときは脳の指令による発熱で、生命の危険ラインと言われている42度を超える熱が出ることはありません。
ところが、熱射病の高熱は脳の指令による発熱ではありませんので、制御システムが働かず、42度を超える熱が出ることがあるのです。
熱射病が危険だと言われているのはそういう理由なのです。
高熱が続くとどうなる?
数年前、熱中症に関してこんなツイートが流れて話題になりました。
そのとき私も衝撃を受けたのでずっと覚えています。
熱中症は「熱に当てられただけなんだから涼しいところで休めば治るんじゃね?」と軽く考えてたら「お前はゆで卵を生卵に戻せるか?熱中症ってのは脳のタンパク質がそうなる事だ」という説明を見てゾッとして以来気をつけております!
確かにゾッとしますよね。
これを読んだ当時、私は高熱によって脳が固まって元に戻らなくなるんだと思って調べてみたところ、ゆで卵のたとえは私の解釈とは少し違ったものでした。
タンパク質が熱によって変化するのは約60度以上なんだそうです。
なので、40度台の高熱で脳が固まることはありません。
ですが、別の意味でこの「ゆで卵のたとえ」は的確であることがわかりました。
高熱によって体の細胞を構成するタンパク質が変質し壊死していきます。
1度壊死した細胞は、もう元には戻せないので「ゆで卵」だというわけです。
高熱が続くと、体内のあちこちに支障をきたします。
場合によっては命にかかわる可能性もありますので、高熱が出ているのに汗が出ていなかったり、意識を失って倒れたりした場合はすぐに病院へ行って処置を受けてください。
熱中症による発熱の対処方法
熱射病で高熱が出て救急車を呼んだとき、待っている間にできることについてお話しします。
まず、涼しい場所に移動させて休ませてください。
このとき、脳に血液が流れるように、頭よりも足を少し高くして寝かせましょう。
そして、体を冷やします。
おでこだけではなく、わきの下や足の付け根も一緒に冷やすと効率よく体を冷やすことができます。
もし意識があって水分をとれるようだったら、水分と塩分を一緒に補給しましょう。
意識がない状態だと、水分が気管や肺に入ってしまうおそれがありますので、意識がない場合は無理に飲ませてはいけません。
そして、決して解熱剤は使わないでください。
風邪の発熱と違うので、解熱剤を使っても効果はありませんし、逆に代謝が良くなって熱が上がることもあるからです。
熱射病の高熱は、適切な処置をして水分と塩分が体にいきわたれば2~3日で治ると言われていますが、熱が下がってもしばらくは無理をせず休ませましょう。
まとめ
熱中症の症状が進むと、命にかかわる危険もある病気です。
子供は、自分の体に起こっていることを的確に伝えることができないことがあります。
重症になる前に早く気づけるよう、まわりの大人は子供の様子をよく見てあげてくださいね。
子供の熱中症については、以下の記事も紹介しています。